扉をあけたら vol.1 「私の光を探して」(代表・鈴木七重)

∴chimugusuiで起きていること。それは植物療法の学びに加え、生き方まるごと変わるような大きな変容です。ハーブや精油でケアを重ね、からだにまなざしを向けることで起きる変化、湧きあがる安心感は、かけがえのないギフト。

vol.1では代表の鈴木七重さんに、植物療法を学ぶことでなぜ人生まで変化するのか、伺いました。

写真と文 / 七緒

扉をあけたら  -Prologe-

 


 

今、∴chimugusuiで何が起きているのか


浜松駅から車を走らせて15分。小道を進んだ先に出会う、緑に囲まれた一軒家が∴chimugusuiのオフィスです。おおらかに葉を茂らせる木々、たわわに咲き乱れる夏のサルスベリ。ふと目をやった先で気持ちよさそうにのびをする猫。

∴chimugusuiは植物を通じて⼼⾝をケアする⽅法を学び、自然とのつながりを感じながら、健やかに生きることを目指すブランドです。講座を軸に、プロダクト、出版などさまざまなフィールドで、自然療法にまつわるホリスティックな知恵を届けています。

「植物療法を学ぶことで不調を整えたり、お仕事に活かすことも叶いますが、講座で起きることはそれ以上のことなんです」



穏やかに口をひらくのは、代表の鈴木七重さん。20代の頃、生理痛や花粉症など不調を抱えた先に、たどり着いたのが植物療法。深い気づきと健やかになった経験を分かち合いたく、15年前にワークショップをスタート。延べ3,000人以上もの生徒さんに寄り添ってきました。

「学びを深める過程で、人生が大きく変わる“変容”が訪れるんです。違和感のあった仕事を辞め、本当にやりたかった職業を志したり、住みたい場所へ移住したり、家族に本音を伝えられるようになったり。本来の自分に目覚め、前に進む生徒さんを何度も目にしてきました」

講座にはグループコンサルテーションの時間があります。語られるのは体調やこころのこと、そして人生の変化の話まで。一人ひとり状況は違えど、共通しているのは∴chimugusuiでの時間が、その人らしく生きるきっかけになっている、ということ。

「回を重ねるごとにセルフケア上手になり、健やかになってさらに夢まで叶えていく。でもね、私やスタッフが促しているわけではありません。生徒さんがご自身と向き合ってケアをしていたら、自然に変化していくんです」



不調を慈しむと、本来の自分が見えてくる




∴chimugusuiに足を踏み入れることで、訪れる人生の変化。少し離れた場にあるように感じる”からだの不調”と”自分らしい人生”は、どうつながっているのでしょうか。「これは私も大勢の生徒さんの変化を見て、理解できるようになったことですが…」と前置きしながら七重さんはこう教えてくれました。

「からだの声を聴くこと、心底リラックスして大きな流れに身を任せること、ハーブや精油を活用して自然と繋がること。この3つが重なり合ったときに、自分らしい人生へと向かってゆく道筋ができます。∴chimugusuiはそのナビゲートをしている感覚です」

以前は、資格取得スクールとして、ハーブや精油の“知識”を主に伝えていましたが、不調改善に至らない人もいたそう。生徒さんの心身に寄り添う中で見えてきた本質的な糸口。それは自分に目を向けること。

「からだの声を聴いてください、ということを口酸っぱく伝えています(笑)だって不調の源は、教科書ではなく、私の中にある。からだが主で、思考は従。『今の私は何を飲みたい?』からだの内側にある感覚に目を向けた上で、知識を活かしてハーブや精油を選ぶ。そう伝えはじめてから、生徒さんの元気になるスピードが格段に早くなりました」


そして、からだの声と同時に聴こえてくるのがこころの声。なぜならからだとこころはいつだってセット。切り離せない存在です。

「何が心地よくて、何が不快か。からだの声に耳を傾けることで、無意識の領域に意識を向け、自分の中に深く沈んでいるこころの声に出会える。その積み重ねで『私、本当はこうしたかったんだ!』って本心に気づく。するとね、もう、自分に嘘がつけなくなるの」

軽やかに笑う七重さん。私は私のまま生きたい。内側に息づく魂が声をあげている。からだという海に深く潜り、海底で小さく光る自分にアクセスしたら、もうそのまま進め。

「だから不調は心地よい人生への道しるべでもあります。からだとこころが喜ぶ方へ思い切って舵を切ってみると、他人や社会の正しさでは測れない、本当に自分らしい人生を歩めるようになるから」

 

大丈夫、身を任せれば自ずと変化する




とはいえ、スピードの早い現代社会で、一日の大半を思考優先で生きる私たち。からだの声に耳を傾け、本来の自分に出会い変化していくことが、なぜ∴chimugusuiで起きるのでしょう。

「からだの奥底に眠る本来の自分に出会い、その声に従うって、少し怖いことだと思うんです。いつも働かせている思考を手放し、身一つでぽーんと川に飛び込むようなものだから。そのとき、背中を押してくれるのが、手放して大丈夫だと思える場。∴chimugusuiがその場になれているんだと思う」

仕事や育児でへとへとでも、清々しいハーブの香りや七重さんのトーンにふれ、講座中にからだがゆるんでいく。それは新緑に包まれる心地よさや言いようのない安心感と同じです。

「山や森、海など大きな自然に抱かれてリラックスした経験は、きっとどなたにもあるのではと思います。圧倒的な自然の中では私たちの小さな自我がゆるむ。その時に、もっと奥にあるエネルギーが湧いてくるのを感じることがあります。それこそが治癒、そして変容に向かうプロセスなのです」

 

「だから講座では、自然の在りようを体現することを大事にしています。『今、あなたに湧きあがった感情や感覚はすべてOKなんだよ』って、毎瞬、毎瞬、肯定して。自然には目標も成功もないでしょう。そのままでいいという在り方は、私たちをすごく安心させてくれるから」

∴chimugusuiそのものが自然と調和しているから、力を抜いて、素の私でいられる。緊張も頑張りも手放せる。それは治癒へのたしかな一歩。

「ハーブや精油を取り入れる植物療法は、小さな自然をコツコツ自分の中に作りあげること。ささやかだけど、毎日のことだからとても力があります。外側にある大きな自然と、私という小さな自然が調和していくと、変化が自ずと湧きあがってくる」

 

私たちは、ありのままでパーフェクト



「もちろん学んだあとも不調は起きるでしょう。環境も自分もゆらぐから。でも講座で学んで整え方を知っているし、そもそも起きることはすべて必然。からだの声を聴き、その都度、本来の自分に出会い心地よく変化していく。すると不調や違和感はギフトになっていく」

そう、私たちの人生はすべてがギフト、ありのままでパーフェクト。調和した世界に気づいたとき、歩んできた日々を丸ごと肯定できる気がして、こころがあたたかなもので満ちてゆきます。

「私はわたしでいい。そう信じられたときに、人は本来の自分のまま人生をクリエイトし、結果として大きな変容が起きる。そんな奇跡のような瞬間に私もスタッフも何度も立ち会わせてもらいました。でもね、生徒さんを見て強く思うのは、いつだってこの世界は奇跡に満ちているということ。私たちが普段、気づいていないだけで」

 

「だから連載という形で広く伝えたいと思ったんです。∴chimugusuiが一番大事にしている魂の部分を、全国の大切な生徒さんの声を通じて、丁寧に届けていけたら」

∴chimugusuiという扉をあけると訪れる変化。眠っていた小さな光たちが、私だけの光を探し、空をまっすぐに進んでいく。その集積は、大きな何かすらも変えていく力を持っている。

いよいよvol.2からは、生徒さんに起きた美しい変容を届けてゆきます。